「一人ひとりの個性を大切に」
学校でも、企業でも、よく耳にする言葉だ。
ところが、教室では同じ時間に同じことを学び、試験では同じ答えを求められる。会社では「自由な発想を」と言われながら、上司と違う意見を言うと、途端に空気が重くなる。
どうやら日本の個性には、集団の和を乱さないという条件がついているらしい。
もちろん、共通のルールや基礎知識は必要だ。社会は一人では成り立たない。
しかし、協調性と同調性は違う。
協調性とは、異なる意見を持つ人と力を合わせること。同調性とは、異なる意見を持たないようにすること。
この二つを取り違えると、個性は伸びるどころか、上手に隠されてしまう。
世界に通用する人材を育てたい。イノベーションを起こしたい。そんな掛け声は勇ましい。
けれど、新しいものとは、往々にして「みんなと違う」ところから生まれるものだ。
私たちは本当に、個性豊かな人を求めているのだろうか。
それとも、個性的に見える、扱いやすい人を求めているのだろうか。
(ニッポンの小骨。Vol.1)
NHK秋田放送局・UTYテレビ山梨(TBS系列)でアナウンサーを務め、取材・構成・番組演出まで担当。NHK放送局長賞を2度受賞。その後、経営者向けコーチング会社で営業No.1を決める「S-1グランプリ」に女性で初めて完全優勝。現在は言語戦略コンサルタントとして、経営者のスピーチや営業のプレゼンを支援。「言葉が変われば、選択が変わる」を軸に、事実と当事者の尊厳を大切にした記事づくりを監修しています。